親の介護を始める前に知っておくべき費用・ポイント・注意点を徹底解説
- 2024.05.20
最終更新日 2024.7.11.
【シニアカーのエキスパート、シンエンス監修】親の介護は誰もが直面する可能性のある重要な課題です。誰がすべきか、介護にどう向き合えばいいか考えたり、介護の制度などを知っておく必要があります。
この記事では、親の介護に必要な費用、押さえておきたいポイント、注意点など、事前に知っておくべき情報をわかりやすく解説します。
要介護者の状態に応じた適切な介護方法や制度の活用法についても詳しく紹介します。親の介護に備え、安心して向き合うための知識を身につけましょう。
電動車いす、電動カートのレンタル・販売を行う専門会社。高い技術力と豊富な実績で運転指導からメンテナンスまでトータル的にサービスを提供。そのほか歩行器のメーカーとしても、超コンパクトサイズから大型モデルまでラインナップ豊富に展開。
▷コーポレートサイトはこちら
目次
「親の介護」は他人事ではない時代へ
介護が必要になる高齢者は年々増加しています。2010年から2020年の10年間で、約227万人も増えています。2025年には830万人の方が介護が必要となってくると予想されています。
日本における高齢化社会の進行は顕著です。医療の発達や健康な生活による長寿化により、親の介護を経験する人が多くなっているのが現状といえます。
年齢 | 要介護 | 要支援 |
---|---|---|
65~74歳 | 49万3千人 | 23万4千人 |
75歳以上 | 421万9千人 | 161万3千人 |
75歳以上で要介護認定を受けた人数は421万9千人で、被保険者の23.1%です。早い人では60〜65歳でも介護が必要になることもあります。
もはや避けられない現実として、親の介護は多くの家庭に迫っています。あまり考えたくないかもしれませんが、他人事ではない人がほとんどという状況なのです。
少し憂鬱な気持ちになる人もいるかもしれませんが、介護が必要となる前に準備を始めることで、未来に大きな差が生まれます。
自分たちの生活スタイルや経済状況、親の健康状態を考慮しながら、介護の必要性について家族で話し合っておくと安心です。
同時に、公的サービスや支援などの情報収集もしておきましょう。
親の介護は誰がする?子どもの義務なの?
親の介護は子どもの義務であり、放棄できません。
正確には、直系血族(ピンク)や配偶者、きょうだい(ブルー)が義務の対象に当たりますが、子どもの配偶者には法的義務はありません。
民法では、以下のように記されています。
【民法第877条 第1項】直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある。
【民法第752条】夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
引用:e-Gov法令検索
対象の介護者は、要介護者の扶養・扶助の義務があります。
子どもの義務として法律で決まっているのは「扶養義務」です。
扶養義務には、身体的介護だけでなく経済的支援も含まれています。しかし、家庭裁判所によって生活が困窮していると認められた場合は強制ではありません。
介護義務を果たす方法として、身体介護が難しい場合には介護サービスの利用が推奨されます。
親の介護をしないとどうなる?
親の介護を放棄すると、法律上「保護責任者遺棄罪」に問われ、最悪の場合は懲役刑に処されることもあります。
たとえば、適切なケアをせずに親が重大な健康被害を受けたり死亡したりした場合、「保護責任者遺棄致死罪」または「保護責任者遺棄致傷罪」といった処罰があります。
介護と聞くと、漠然とした不安を抱えることがほとんどでしょう。親の介護に関する悩みや不安がある場合は、早期に対応し、必要な支援を求めることが重要です。
親の介護にかかる費用や期間
介護において、経済的な問題は一般的な悩みの種です。
生命保険文化センターの調査によれば、介護経験のある人々から得られたデータ(※)に基づくと、平均的な月々の介護費用は8.3万円であり、住宅改造や介護用ベッドの購入費など一時的な費用を含めると平均74万円に上ります。
場所別に見ると、在宅介護の費用は4.8万円、施設介護の費用は12.2万円です。
また、介護期間は平均5年1カ月であり、約5割の人々が4年以上介護を行っています。
(※)出典:(公財)生命保険文化センター「「生命保険に関する全国実態調査」
通常、親の年金や預貯金でカバーされますが、介護者自身が負担する場合もあります。デリケートな問題であるため、親族間で話し合い、親の財務状況を含めて計画を立てることが重要です。
介護費用の捻出に困った場合、免税制度の利用を検討しましょう。特定入所者介護サービス費や高額介護サービス費など、さまざまです。また、生活保護を受けることも一考の余地があります。
介護対象者にもステージがある!それぞれの段階を理解しておこう
介護と言ってもいくつかのステージがあり、それぞれ異なるニーズが存在します。
一般的に自立から要介護5までの段階に分かれますが、介護度別にどのような介護サービスやサポートが適切かを理解しておくと安心です。
表を見ていただくと、支援が不要な自立から、介助が必要な要介護まで8段階に分かれていることがわかります。
たとえば、初期段階の要支援1では身の回りの一部のサポートだけが必要ですが、進行するにつれて入浴や食事など全面的なケアが求められるようになります。
介護の必要度合いについて理解しておくことで、親が介護を必要とする際に慌てず対応しやすくなるはずです。
介護の一歩手前!見守りサービスを活用しよう
遠方に住む高齢の親が、介護はまだ必要ないけど心配だという方は、見守りサービスがおすすめです。高齢者の移動手段として便利なシニアカーに、モニタリングシステムを付けておくと安心。
モニスタには、「どこへ出かけているか?」「安全運転をしているか?」「バッテリーやタイヤ交換は必要ないか?」などが遠隔で通知されるシステムがあります。GPSでモニタリングできるので、シニアカーや電動車いすに装着しておけば遠隔で確認可能です。
介護保険制度を利用した、モニスタ搭載の電動車いすレンタルもできるので、ぜひ検討してみてください。
あわせて読みたい記事:「高齢者の見守りとは?見守りサービスを利用する重要性や種類と選び方を紹介」
親の介護によって陥りやすいトラブル例をいくつか紹介
親の介護が始まると、金銭面やストレスなどで起こりやすいトラブルがあります。
介護状況や家庭環境などで変わってきますが、いくつか例を見ていきましょう。
①:金銭面での不安がトラブルになりうる
②:介護の悩みやストレスが原因でなる「介護うつ」に注意
③:兄弟や親戚間などの人間関係でおこるトラブル
④:介護による身体的な負担
①:金銭面での不安がトラブルになりうる
実際に介護が始まると、多額の費用がかかることがあります。
また、介護をするために仕事を辞める介護離職が生じる場合もあり、収入が減ってしまうこともあるのです。
これが家族間でのトラブル原因の1つとなっています。
金銭面でのトラブルを避けるためには、介護保険の利用や公的補助、介護費用の分担など、負担を軽減する方法について家族で話し合い、計画を立てることが重要です。
②:介護の悩みやストレスが原因でなる「介護うつ」に注意
介護者が直面する精神的、肉体的な負担は非常に大きく、これが「介護うつ」を引き起こすことがあります。
介護者自身の健康も大切にし、必要に応じて専門家の助けを求めることが大切です。
また、家族間でのサポートや介護負担の分担も、介護うつの予防に役立ちます。
③:きょうだいや親戚間などの人間関係でおこるトラブル
介護を巡るきょうだいや親戚間の意見の相違は、しばしばトラブルの原因となります。
わかりやすく情報共有をおこない、家族全員で協力して介護計画を立てることがトラブルを避けるために重要です。
また、定期的な家族会議を開催し、現状の共有や意見交換をすることもトラブル防止に効果的です。
④:介護による身体的な負担
在宅介護では、身体的な負担が頻繁に発生します。介護度合いによって異なりますが、移動や排泄の手伝い、入浴や着替えなど、体を使った介助が日常的に行われます。
このような作業を何度も繰り返すと、腰や肩、腕、膝などに負担がかかり、痛みを引き起こすことがあるでしょう。
さらに、24時間体制での介護が必要な場合、睡眠不足や休息不足も心配されます。
介護うつに繋がったり、身体を壊してしまったりするケースもあるため、周囲のサポートや専門家の支援を利用することが重要です。
一度は親と話し合うべき!もし要介護になったらどうしたいか
介護が必要になった際の具体的なプランについて、親と話し合うことは非常に大切です。
どんな介護を望んでいるのか、また避けたい状況はどういったものなのかという親の意向を確認しておくことは、将来の介護計画を立てる上で欠かせません。
話しにくい話題かもしれませんが、親の希望を聞いておけばお互いの負担が減らせます。また、このような話し合いは家族間の信頼関係をより強くすることにもつながります。きょうだいがいる場合は、きょうだい間でも話し合っておくとトラブル防止になりますよ。
話し合いをすることで、介護に対する不安を和らげる一助となるはずです。親の意向に沿った介護サービスの選択肢についても、情報収集を始める良い機会になるでしょう。
「誰が介護をするのか」を決めることも重要なポイント
介護が始まってからトラブルになることは大変多いです。そのために、金銭の援助も含め、誰がメインで介護をするのかを親やきょうだい間で話し合っておくことも大切です。
主に介護を担当する人をキーパーソンと呼びますが、役割分担は必要です。キーパーソンにすべてを負担させないことが重要で、経済面から実際の介護、役所への手続きなどを一人ですべて行う「ワンオペ介護」は長続きせず、トラブルの原因になります。
介護の必要性は個人によって異なりますので、親族間で具体的に話し合い、事前に役割を分担しておきましょう。
介護の方法はいくつかある!家族で話し合って決めよう
介護には在宅介護や訪問介護、老人ホームなどいくつかの選択肢があります。
ここからはいくつか介護の方法・確認ポイントをお伝えします。
①:家族で分担しながら在宅介護をする
②:訪問介護やデイサービスなどを利用する
③:介護施設(老人ホーム)を利用する
④:受けられる公的支援は事前に確認する
それぞれ特徴を知っておくことで、不安も解消できるかもしれません。
また、家族での話し合い時に知識があれば、選択しやすくなります。
①:家族で分担しながら在宅介護をする
在宅介護は自宅で介護をおこなうことです。介護を家族間で分担することで、1人に過度な負担が集中することを避けられます。
たとえば、日常生活の支援は家にいる時間が長い家族がおこない、医療的なケアが必要な場合は専門知識を持つ家族が担うなど、それぞれの得意分野や生活リズムに合わせた役割分担が理想です。
介護者は必ず定期的な交代や休息を確保しましょう。交代や休息は介護者の心身の健康を守り、燃え尽き症候群(バーンアウト)を防ぐ上でとても大切です。
また、家族外のサポート(友人やボランティア、地域の支援サービス)を活用することも、自宅介護を継続するポイントの1つです。
②:訪問介護やデイサービスなどを利用する
訪問介護やデイサービスを利用する方法もあります。訪問介護は介護福祉士やホームヘルパーが自宅に来て、排泄や入浴、食事などの介護をしてくれるもの。デイサービスは、施設に入所せず、昼間に日帰りで利用できる通所介護サービスです。リハビリやレクリエーション、食事などのサービスを受けられます。
どちらも家族の介護負担を軽減し、要介護者に適切な刺激とケアを提供するための有効な手段です。
訪問介護やデイサービスでは、安全で適切な刺激がある充実した日々を送ることができます。介護者は仕事や自身の休息時間を確保できるなど、双方にメリットがある方法です。
気になる費用ですが、全国で実施している介護保険事業なので、基本的に1~3割程度の負担で済みます。自治体の窓口や地域包括支援センターに相談してみましょう。
③:介護施設(老人ホーム)を利用する
家庭での介護が困難な場合や、24時間体制でのサポートが必要な方には、介護施設(老人ホーム)の利用も選択肢の1つです。
介護施設には、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などさまざまな種類があります。
施設選びのポイントは、入居条件、施設の立地、サービス内容、スタッフの質、費用などを総合的に見ることです。高齢の親を持つ場合は、介護が必要になる前の段階で見学しておくのもいいでしょう。オープンハウスや体験入居を利用して、実際に施設の雰囲気を感じ取ることもおすすめです。
④:受けられる公的支援は事前に確認しておこう
介護保険制度や地方自治体が提供する支援サービスが受けられる場合があります。
利用には、事前に詳しく調べておくことがポイントです。
【主な公的支援】
・居宅介護住宅改修費
・介護予防住宅改修費
・高額介護合算療養費制度
・高額介護サービス費制度
・医療費控除
記載したもの以外にも利用できる公的支援はあります。また、地域によっては家族介護慰労金や見守りサービス、食事の宅配サービスなど独自の支援制度を設けている場合もあります。自治体窓口やウェブサイトなどで確認しておくといいでしょう。
どこに相談したらいいかわからない場合は、各自治体の地域包括支援センターへ問い合わせてみてください。
まとめ:お互いに幸せな介護になるように事前に知識をもっておくことが大切
親の介護は、家族にとって重大な責任です。それと同時に、家族の絆を深める貴重な機会でもあります。
介護される親にとっても、介護をする家族にとっても幸せなものとなるように、必要な知識を持つことがポイントです。いざ介護が必要となってから動くと、大変になってしまいます。
家族で話し合いの場を持ったり、利用できる制度を調べたりするなど早め早めに準備をしておくことが重要。予期せぬ事態が起こっても、事前の準備と情報が助けてくれるはずです。
「介護はまだ必要ないけれど、買い物や外出などは少し不安」という高齢の親には、移動補助の目的でシニアカーや電動車いすの導入を考える方もいらっしゃいますよね。
モニスタのモニタリングシステムも一緒に使えば、遠隔で見守れます。介護保険制度を利用してレンタルも可能なので、介護度に応じて検討してみてください。
不安なことはお気軽にモニスタまでご相談ください。