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ノーマライゼーションとはどんな理念?実現のためにできること

2024.03.28

【シニアカーのエキスパート!シンエンス監修】ノーマライゼーションとは、障害の有無に関わらずすべての人が平等に生活できる社会を目指す理念です。

高齢者になり介護が必要になった方や、自力で生活することが難しいという方も、そうでない方と変わらず自由に生活できる社会づくりにノーマライゼーションが役立ちます。

この記事では、この記事では、ノーマライゼーションの基本的な考え方とその実現に向けて私たちができる具体的な取り組みについて詳しく解説します。

ノーマライゼーションとは?意味を簡単に解説

ノーマライゼーションとは?意味を簡単に解説

ノーマライゼーションとは人権そのものであり、高齢者や障がい者などの社会的弱者を特別に扱うのではなく、健常者と同等に一般的な生活リズムや活動に参加することを促進する社会を実現する考え方のことです。

障がいのある人もない人も、高齢者も若者も互いに支え合い、いきいきと暮らしていける社会こそが正常(ノーマル)な社会であり、それを目指すことをノーマライゼーションの理念と位置づけられています。

この理念は、日本の厚生労働省も提唱しており、障がい者の自立と社会参加の促進に向けた施策を推進しています。

参考:障害者の自立と社会参加を目指して|厚生労働省

ノーマライゼーションの提唱者はデンマークのバンク・ミケルセン氏

ノーマライゼーションは、デンマークのニルス・エリク・バンク-ミケルセン氏によって提唱された概念です。

彼はデンマークの社会省で知的障害者福祉課に勤務し、知的障害児が非人間的な扱いを受けている現状に心を痛めました。「障害のない人々と同じように生活する権利を持つべきである」という考えを広め、1959年に「知的障がい者福祉法」が成立しました。

この法律で初めて「ノーマライゼーション」という言葉が公式に用いられました。

この考え方はヨーロッパや北アメリカに広がり、1980年代以降は日本を含む多くの国々で障害者や高齢者の社会福祉における中心的な理念となりました。

ノーマライゼーションの理念は障がい者福祉の歴史と密接に関連しており、この歴史は彼らが地域社会に統合されるための重要なステップを提供しています。

ノーマライゼーションとバリアフリーの違い

ノーマライゼーションとよく似た意味で、「バリアフリー」という言葉はよく耳にするのではないでしょうか。

バリアフリーとは、社会的弱者が日常感じる障壁(バリア)をなくす(フリー)取り組みのことをいい、ノーマライゼーションを実現する手段のひとつになります。

車いすでも走行しやすいよう段差をなくしたり、駅のホームには点字ブロックを設けたり、盲導犬を連れての入店に理解示したりすることもバリアフリーですね。

このようなバリアフリー化が進むことで、ノーマライゼーションの社会に近づいていくことになります。

あわせて読みたい記事:「バリアフリー社会への一歩!誰もが快適に暮らすための取り組み

ノーマライゼーションの8つの原理

デンマークのミケルセン氏が提唱したノーマライゼーションの理念は、スウェーデンの知的障がい者児連盟の「ベンクト・ニィリエ氏」によってさらに世界に広がりました。

ニィリエ氏は、バンク-ミケルセンの理念に影響を受け、ノーマライゼーションを英文に翻訳し、世界的に広めたのです。

彼は、知的障がい者が直面する非人間的な扱いに反応し、より良いプログラム、施設、生活条件を作り出すためにノーマライゼーションを「8つの原理」に分けて示しました。

それによりすべての知的障がい者が一般の人々と同じような「ノーマル(普通)」のライフサイクルを送る権利があると主張したのです。

ニィリエ氏が提唱した「ノーマライゼーション8つの原理」は以下の通り。

①:1日のノーマルなリズム
②:1週間のノーマルなリズム
③:1年のノーマルなリズム
④:ライフサイクルにおけるノーマルな発達的経験
⑤:ノーマルな個人の尊厳と自己決定権
⑥:その文化におけるノーマルな両性の形態すなわちセクシャリティと結婚の保障
⑦:その社会におけるノーマルな経済的水準とそれを得る権利
⑧:その地城におけるノーマルな環境水準

障がい者であっても住居や教育、労働環境、余暇の過ごし方など、日常生活を出来る限り障がいのない人と同じような条件にすることが目的です。

また、健常者が当然に持つ、自分の意志で物事を選ぶ権利や生活水準などもノーマライゼーションの条件として掲げています。

この原則は障害者自身の意志に基づく選択権や生活水準の保証も含み、教育的意義も持ち、障害者の自己認識の構築に重要です。

この原則は障害者だけでなく、公衆や従事者、障害者の両親にとっても意義深いと強調されています。

 引用・参考文献:Bengt Nirje, “The Normalization Principle and Its Human Management Implications,” in SRV-VRS: The International Social Role Valorization Journal, Vol. 1(2), 1994.

①:1日のノーマルなリズム

普通の日常生活を送ることができるようにし、起床、着替え、食事などの基本的な日常活動を含めることが大切です。

これには、重度の知的障がいや身体障がいがあってもベッドから起き上がり、服を着ることが含まれます。

②:1週間のノーマルなリズム

平日は仕事や学校に通い、週末には休息をとるなど、一週間の通常のリズムを経験することを目指します。

トレーニングや治療を行う施設だけでなく、外の世界で仕事や学校、余暇活動を行うことが重要です。

幅広い経験と適切な社会訓練により、障がい者は社会に参加し、日常生活における実際的な経験と意味を得ることができます。

③:1年のノーマルなリズム

季節の変化や休暇、個人的な記念日など、一年を通じた普通の生活のリズムを経験することが大切です。

多くの人々は年に一度は休暇を取り、心身をリフレッシュします。

重度の障がいを持つ人々であっても、国内外への旅行は有意義で価値ある経験です。

④:ライフサイクルにおけるノーマルな発達的経験

幼少期から成人期、そして老年期に至るまで、自然な発展段階を経験することが重要です。

子供時代は安全で豊かで刺激的な環境、青年期は自己発見と自信を築くための環境、成人期は独立性の促進、老年期は馴染みのある環境と人との繋がりを維持した生活が含まれます。

⑤:ノーマルな個人の尊厳と自己決定権

選択、願望、欲求を尊重し、可能な限り考慮することが求められます。

1968年のスウェーデンでの会議では、障がいを持つ若者たちが職業訓練や余暇の問題について話し合い、小規模で同質的なグループでの活動を望む声が上がりました。

⑥:その文化におけるノーマルな両性の形態すなわちセクシャリティと結婚の保障

障がい者が性別に関わらず、社会の中で男女が共存する環境で生活することを目指します。

1967年のストックホルムシンポジウムでは、障がい者間の性別統合の必要性が強調され、性別の分離による不自然な隔離と適切な発展の妨げが過大評価されているとの結論に至りました。

男女が混在することで、より良い行動と環境が生まれ、動機付けが増すとされています。

⑦:その社会におけるノーマルな経済的水準とそれを得る権利

通常の生活に近い存在を実現するための前提条件として、通常の経済基準を適用することが求められます。

これは、一般の人々が享受する基本的な財政特権を社会立法を通じて提供すること、および適用可能な他の経済的安全対策を施すことを意味します。

子供手当、個人年金、高齢者手当、最低賃金などです。

これにより、現実的な社会訓練を支援し、独立した選択を促進します。

⑧:その地城におけるノーマルな環境水準

病院、学校、グループホーム、ホステル、寄宿舎などの施設は、通常の市民向けの同様の施設に適用される基準と同じであるべきです。

これらの基準の適用は、障がい者向けの様々な施設にも及び、通常の社会生活における施設と同等の環境とサービスを提供することを目指します。

これにより、一般社会と同様の品質と条件の下で生活できるようになります。

高齢者におけるノーマライゼーションの事例

高齢者福祉におけるノーマライゼーションとは、高齢者が地域や社会とのつながりを持ちながら自分らしく暮らせることとされています。

介護の現場でもノーマライゼーションの視点を忘れずに、1日、1週間、1年を通しノーマルなリズムやサイクルで生活することが基本原則となります。

重い介護状態であっても1日中ベッドの上で過ごすのではなく、朝起きたら着替え、食事は一般的な食事の時間帯にベッドではなく食卓でとるといった生活リズムを大切にしている施設は多いでしょう。

毎日や年間を通して生活リズムを整えながらその人らしい生き方を追求することが理想的です。

施設によっては地元の人たちによるボランティアを積極的に受け入れて地域交流イベントの開催など地域の一員として普通に暮らしていく取り組みを行うケースもみられます。

これらは、病気や障がいのある高齢者の方たちも、他の人たちと同様に普通に暮らしていくための環境を整える事につながっていくのではないでしょうか。

ノーマライゼーションの実現とパーソナルモビリティーの関係性

ノーマライゼーションの実現とパーソナルモビリティーの関係性

ノーマライゼーションの実現を進めていく上で、パーソナルモビリティ(電動の移動手段)は無くてはならないものだと考えられます。

高齢者が利用するシニアカーや電動車いすもパーソナルモビリティのひとつです。長距離の歩行が困難になった高齢者も、シニアカーを利用すれば行動範囲も広がります。今後、バリアフリーの施設がどんどん増えてくることで外出先の選択肢も増えてくることでしょう。

シンエンスでは、電動車いす用のモニタリングシステム「モニスタ」を提供しています。モニスタは、車両に搭載されたGPSデバイスが走行中の電動車いすを常時モニタリングし、日々の使用状況や現在地・消耗品の交換時期などをリアルタイムでお知らせしてくれるサービスです。

ノーマライゼーションを実現するための一歩として、利用者もご家族も安心してシニアカーを利用してみませんか?

まとめ:ノーマライゼーションの実現で誰もが生きやすい社会に

「みんなが同等に普通の生活を送る権利がある」というのがノーマライゼーションの考え方で、社会福祉の基本理念となっています。

これは、介護が必要な高齢者も自分らしくいきいきと暮らしていくことであり、高齢者のQOLの向上につながります。

自分の意志で自分で出かける。シニアカーを利用してこれを実現することは、高齢者のQOL向上のためにも重要な役割を担っています。

ぜひこの機会にモニスタを導入し、利用者もご家族も安心してシニアカーを利用してみませんか?

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