ADL(日常生活動作)とは?IADLとの違いやADL低下を予防する方法
- 2024.04.19
最終更新日 2024.4.25.
【シニアカーのエキスパート!シンエンス監修】ADL(日常生活動作)とは、食事や入浴、移動など、日常生活を送るために必要な動作のことです。
基本的ADL(BADL)と手段的ADL(IADL)に分類され、医療や介護の現場で、高齢者の自立度を評価するために使用されます。ADLの低下は生活の質の低下や心身機能の低下にも繋がるため、日常的な予防が重要です。
この記事では、BADLとIADLの違いや評価項目、ADL低下を予防するために気をつけたいことをご紹介します。
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目次
ADL(日常生活動作)とは
ADL(日常生活動作)とは、Activities of Daily Livingの略で、日常生活を送るなかで必要な最低限の動作のことを指します。
起居動作・食事・排泄・入浴・更衣・整容(身だしなみ)・移乗・移動動作がこれにあたります。
介護や医療現場では日常的に使われている表現で、高齢者や障害者の身体状況や日常生活の自立度の指標になります。
さまざまな方法でADLを評価できます。
基本的ADL(BADL)と手段的ADL(IADL)の違い
ADLには、「基本的日常生活動作(BADL)」と「手段的日常生活動作(IADL)」があります。
基本的ADLと手段的ADLは、日常生活を自立して送るために必要な能力を評価するための指標ですが、その対象となる活動の内容に違いがあります。
簡単にいうと、BADLは生活の「基本」を形成し個人の基本的な身体的な自立性を評価するのに対し、IADLは生活の質を向上させるために必要な「手段的」スキルを評価します。
基本的日常生活動作(BADL)
基本的日常生活動作(BADL=Basic ADL)は、一般的に日常生活動作(ADL)と同じことを表します。
起居動作・食事・排泄・入浴・更衣・整容・移乗・移動動作のことをいいます。生きていく上で必要な最低限の動作になります。
手段的日常生活動作(IADL)
手段的日常生活動作(IADL=Instrumental ADL)は、ADLの次の段階でより複雑な動作を指します。
料理・掃除・洗濯などの家事や買い物・公共交通機関の利用・電話・服薬管理・金銭管理などが、これにあたります。
例えば、買い物の場合「必要なものがないことに気づく」→「どこに買いにいくか考える」「お店に行く」→「ものを探す」→「レジに並んで会計する」→「家に帰る」→「決まった場所に収納する」この一連の流れがIADLになります。
ADLが低下する場合、多くはより高度なIADLから低下し、そのあとにADLが低下します。
つまり、IADLの状態を知ることは要介護状態になるのを予測・予防できます。
ADLの評価項目
ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)の評価項目は、個人の自立した生活を送るために必要な基本的なスキルや活動を測定します。
ADLの評価は、高齢者や障害を持つ人々、あるいは疾患からの回復過程にある人々の日常生活の自立度を測定するために用いられます。これらの活動を自立して行えるかどうかは、その人の身体的、精神的健康状態を反映しています。
BADL(基本的ADL)の評価項目
BADL(基本的ADL)の評価項目は大きく3つに分けられます。
①:Barthel index(バーセルインデックス)
②:Katz Index(カッツインデックス)
③:DASC-21(ダスク-21)
※参照:日本老年医学会
※参照:日本老年医学会
①:Barthel index(バーセルインデックス)
移乗・移動・階段昇降・食事・入浴・トイレ動作・排尿コントロール・排便コントロール・更衣・整容の10項目を「自立しているか」「介助が必要か」点数で評価します。
点数が高いほど自立度が高いことを表します。
②:Katz Index(カッツインデックス)
入浴・更衣・トイレ動作・移動・排泄コントロール・食事の6項目を「自立しているか」「介助が必要か」点数で評価します。
自立している項目数によって、A~Gの7段階で自立指標という総合判定をします。
③:DASC-21(ダスク-21)
認知症の総合アセスメントシートで認知機能と生活機能を21項目で評価します。
そのうち、BADLは入浴・着替え・排泄・整容・食事・移動の6項目あり、「問題なくできる」「見守りや声がけを要する」「一部介助を要する」「全介助を要する」の4段階で評価できます。
IADL(手段的ADL)の評価項目
BADL(基本的ADL)の評価項目は大きく3つに分けられます。
①:Lawton(ロートン)の尺度
②:老研式活動能力指標
③:DASC-21(ダスク-21)
※参照:日本老年医学会
①:Lawton(ロートン)の尺度
電話を使用する能力・買い物・食事の支度・家事・洗濯・交通手段・服薬の管理・金銭管理能力の8項目を3~5段階の0~1点で評価します。
最大8点で点数が高いほど自立度が高いことを表します。
②:老研式活動能力指標
公共交通機関を使って外出・買い物・食事の準備・金銭管理などIADLの評価項目が5つあります。その他に、知的能動性(新聞や本・雑誌を読むか、健康に対しての関心など)と社会的役割(人とのコミュニケーションについての質問など)の全部で13項目あります。
「はい」「いいえ」で返答して、点数が高いほど自立度が高いことを表します。
③:DASC-21(ダスク-21)
認知症の総合アセスメントシートで認知機能と生活機能を21項目で評価します。そのうち、IADLは買い物・交通機関・金銭管理・電話・食事の準備・服薬管理の6項目があります。
「問題なくできる」「だいたいできる」「あまりできない」「まったくできない」の4段階で評価できます。
ADLの低下は生活にどう影響する?
ADLの低下は、寝たきりや要介護状態へとつながります。
ADLが低下し、活動量が減少して更に体力や筋力の低下が起きると、外出や社会参加の機会も減少します。
また、ADLの低下によって他者に依存することが多くなります。その結果、劣等感や自尊心が低下するなど精神面への影響もあります。
憂鬱な気分・ふさぎこみとなり、引きこもりや他者とのコミュニケーションの減少につながります。
身体機能の低下や精神面は認知機能へも影響し、認知症や寝たきりの要介護となり、更にADLが低下する悪循環となります。
ADL低下を予防するためにできること
ADLの低下を予防するためには、自立した生活を送ることが大切です。
また、他者とのコミュニケーションや社会参加することで生きがいをみつけ、満足感や充実感など精神的に安定してQOLを高めることへとつながります。
では、自立した生活を送るためにはどうしたらよいでしょう。
加齢や病気などによりADLが低下してくると、周りの家族はいろいろと手伝いたくなります。スムーズに日常生活は送れるかもしれませんが、その結果できることまで奪ってしまう可能性があります。
なにが「できて」なにが「できない」のか観察して、できることは自分でしてもらうようにしましょう。
環境を整えて「自分でできる状況」をつくることも大切です。
例えば歩行が不安定な人であれば、浴室やトイレ、廊下に手すりをつけたり、玄関の階段や段差をスロープすると自分で移動することが可能になります。家の中の家具やものの配置を変えるだけで動線が変わり生活しやすくなることもあります。
介護保険を利用して杖やシルバーカーをレンタルするのもいいですね。
また家族や友人との時間、趣味や地域活動など社会参加する機会をつくり、自分の居場所や生きがいをみつけましょう。
そのほかに、適度な運動とバランスのよい食事が大切です。
不規則な食習慣や運動不足は生活習慣病の原因となり、ADLの低下につながります。
自立した生活・QOLを高めてADLの低下を予防し、要介護状態になるのを防ぎましょう。
高齢者の自立した生活のためにパーソナルモビリティの導入を
自立した生活を送り、ADLの低下を予防するためには積極的に外出など社会との関わりをもつことが大切です。
杖やシルバーカーでは外出が難しくなってきたときは、パーソナルモビリティという方法もあります。パーソナルモビリティとは電動の移動手段で、主に近距離移動で使用するコンセプトカーのことをいいます。
シニアカー(電動カート)、電動車いす、電動アシスト付き自転車などがあります。電動で動くため移動の負担が軽減し、気軽に外出できます。生活の幅も広がり、ADLの低下を予防します。
シニアカーや電動車いすを初めて利用される場合は、専門業者に相談することをおすすめします。
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またGPSで見守る電動車いすモニタリングシステム「モニスタ」の併用もおすすめです。
外出の状況や安全に運転できているかをGPSにより確認できます。離れた家族も安心ですね。
パーソナルモビリティについて詳しくは「パーソナルモビリティとは?高齢者の移動補助や介護現場でも使われている新たな移動手段」をご覧ください。
まとめ:ADL低下の予防には健康で自立した日常生活が重要
いかがでしたか?
ADLの低下を予防するためには、心身共に健康で自立した日常生活を送ることが大切です。
家族など周りの人の適切な援助をうけながら、ADLの維持ができるように自分でできることはおこなうようにし、必要な生活環境を整えていきましょう。
また他者とのコミュニケーションや社会参加などをして、充実した生活を送りましょう。
QOLを向上させ、ADL低下を予防し、寝たきり・要介護状態になるのを防ぎましょう。